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2周読んだら、鷹人が濃すぎて主役が食われ、「鷹人の彼女」に変化した件(ナノカノカレ)

漫画は好きですが、少女漫画はほとんど知りません。『ナノカノカレ』冒頭の浮気とか無理だから(マックで、ナノカが背中越しに、隼太の別れ話をきいてるとこ)あたりで、ドロドロ怖いってそっ閉じしました。しかし好奇心には打ち勝てず、あとナノカノカレってイラストは正統派少女漫画でとても綺麗だから、手に取りやすい面もあり一気読みしました。

自分が親しんできた文化とは異なる文化圏なので、興味深かったです。

 

この文章にはネタバレが含まれています

 

[まとめ買い] 菜の花の彼―ナノカノカレ―(マーガレットコミックスDIGITAL)

初読時

「鷹人ないわー」「おーじもっとないわー」「菜乃花もどうかと思うわー」と、ガクブルしながら味わいました。ドロドロと聞いていた割には、例えば望まない妊娠とか婦女暴行とか中絶とか、性的なドロドロは出てこなくて、主に「恋心」が主役でしたね。痛いのも怖いのも苦手な私でも、読めました。同じ高校生を題材にした作品でも、体はつながってみたけど、さみしい気持ちは満たされないままで、みたいのもありますよね。

本書は今のところ性の話を持ち込まないので、シンプルでいいです。人間の心理とドラマを描きたいのかなって見ています。

もし私が菜乃花の家族なら、「気持ちは分かるが、落ち着いてよく考えなさい。隼太君、いい子じゃないか」って言うと思う。

対して、もし私が隼・鷹の家族なら「気持ちは分かるけど、その子、ファム・ファタルの素質ありそうだし、大怪我して破滅するよ。まだ精神的に幼いから、成熟するまで根気強く付き合う覚悟が無いならやめときな」って言うと思う。
保護者目線ですよね。

常識で考えて、隼太は優良物件だし、10年先は相当いい男に育つと思う。ただ、平凡な毎日は尊いし、それを維持することの大変さもあるけれど、刺激足りないから退屈するかもしれない。三次元でこれやると破滅するやつですね。
フィクションは、動物園みたいなもので、安全な場所から「しろくまだねー」「虎おおきいねー」と見るような感じで、どんな出来事であれ疑似体験することができるのだから、鷹人が次に何をやらかすかなと楽しむのも、分かります。フィクションくらい、好きにさせてくれってあるし。

恋のライバルだけど補い合う2人

隼太と鷹人は、基本と逸脱の関係にありますね。音楽の素養が無い人が無茶苦茶に楽器を鳴らせば騒音だけど、基本が出来てる人が扱えば、クラシックの前衛作品なり、ジャズなり、逸脱する面白さを味わえますよね。

2周目を読んでみた

公式の惹句には「とうとう鷹人が素直になる」みたいな感じで、「素直になれない男の子♡」って扱いなんですけど、不器用すぎますよね。私にとって、好きな子をかまって嫌われたり、髪の毛引っ張って叱られたりしたのは小学1年生の頃の出来事です。さすがに中学生になると、告白するとかおつきあいするとかは別にして、「ああ、私はこの人のここに惹かれるな」「何々さんは優しいとこあるな」「毅然としてとっさの対応できて凄いな」とか、中学生なりに言語化してました。
なので、「ナノカを見るとイラつく」ってとこからスタートして、「これが初恋だった」と気がつくときにはもう、手遅れだった、鷹人は「お前頭いいのに大丈夫か」って心配になります。簡単に、サイコパスに洗脳されてキラッキラになってましたし。病むほどに輝くってどうなの! *1 鷹人は打たれ弱いので、セキュリティホール対策どうにかしてほしいですね。マイクロソフトにお願いできないかな……。「ちょっと待ってろ、WindowsUpdateかける。更新中です電源を落とさないで下さい」とか、鷹人が言い出したら、それはそれで楽しい。

2周目を読むにあたり、「鷹人はなぜナノカと話さないのか」を意識して読みました。読んでも読んでも答えは出てきません。70話で、クリスマスのお話の後で、ナノカから「聞いて」(一人で決めないで)って、言って貰えましたね。あれ実質、雨傘よりもずっと、鷹人にとってはプレゼントだったと思うな。「ああ、交際相手にきけばよかったのか」って鷹人はここで気づいたのなら、16年前後、そういう「概念」を持たずに生きてきたわけで、お前よく生きてきたな……。と、驚かされたのでした。

恋愛に関する特化型の舞台装置

石田衣良IWGPが分かりやすい例だと思うんだけど、あれって「ミキサー」なんですよね。スムージーとか作る、ミキサー。時事ネタと著者の解釈を放り込むと、マコトやキングたちが走り出してくれる、優秀な舞台。ナノカノカレの場合は、2巻前半の段階で、この舞台装置が出来て、恋愛に関することなら、純愛だろうが略奪だろうが心中だろうが、なんだって描けるぞこれ、と著者さんが粛々と組み上げていく土台の凄みを感じたのでした。
画力が高いから最小限のセリフと、絵、とくに表情や、「幸せなコマ」と「絶望のコマ」を対比させるとか、表現力がずば抜けているので、この作品は心理描写が楽しいです。大人になっても鷹人みたいな人はいるし、隼太みたいな人も少しはいるから、痛い思いも楽しい思いも通ってきた大人が読んでも鑑賞に耐える作品ですね。例えば、ヲタ恋とかの世代を舞台にすると、話がややこしくなるので、「恋に関する心の働きとドラマ」に焦点を当てるには、十代の彼らに演じてもらうのがいいと思いました。

鷹人が「表現者」として優秀だった

もし実写化するとしたら、たぶん鷹人役が一番難しいと思う。ここ演技力が身についてなくて事務所が押してるイケメンとかにやらせると、ただの変な人になっちゃうから。それこそ、オージとの区別だって怪しい。
ナノカがいるから鷹人はおかしくなるし、隼太が常識的な部分・明るい青春的な部分を引き受けてくれるから、鷹人は安心して暴れ馬やれるわけですよね。
口下手とか不器用というレベルではなくて、「ああ、俺、好きだったんだ」って気がつくのに時間がかかりすぎたり、「終わらせたい」ってナノカに言われてるのに、終わりにすることが出来なくて、もがいてもがいて、奇行に走ります。奇行に走ったり壊れる鷹人を見てナノカが「そこまで私のことを」って思ってくれるなら救われるんだけど、意訳すると「迷惑です」って言われるので、さらに迷走してしまいます。

かつてイケメンがここまで塩対応される作品があったでしょうか。

大抵の人は恋するとおかしくなりますが、「君は小学生か」ってレベルから、色んなことやらかして見せてくれる鷹人は、「男のバカで可愛い部分」と「男の嫌な部分」をちゃんと見せてくれます。彼抜きで、この物語は成立しないので、変なやつだと思っててごめん、君は見方によっては優秀なヤツだったんだねと思うことでした。

怒られちゃうかもしれないけど

鷹人と、隼太が、そしてサイコパスがナノカに惹かれる理由は分かります。書いてあるから。でも、一人は変な虫とはいえ、一応3人が取り合うくらい、ナノカは魅力的な存在のはずです。悪い子じゃないし、自分の苦手なことを意識して「変わりたい」って頑張る姿も見てきたけれど、何もかもかけて取り合うほどのヒロインなの? という疑問は拭えないんですよね。まだ純粋なティーンエイジャーだからこそ、惜しげもなく「何もかも賭けて」しまうのかな。

一周目の時点では、鷹人やサイコパス変だからナノカ自衛してって思ったけど、2周目を読んでみると、鷹人にしろ隼太にしろ、いいヤツなので、ナノカのために破滅することないよー、もっと穏やかな恋だってあるぞーと、もやもやするのです。

私は、ナノカの魅力に開眼するのはまだ時間かかりそうだから、ナノカノカレというよりは「鷹人の彼女」って感じに見えるのでした。
ファム・ファタルは魅力的だけど、離れてみていたい、そばにいたくないって思うからなのかなあ。)


この作品を手にするきっかけ

haretarabook.com


SNSとナノカノカレの相性はすごいです。こうして、楽しんでる様子を見せてくれる人がいなければ、手に取らなかったと思うから。感謝。

*1:まあ心中覚悟したわけで、それは1つの解決策だから、気持ちが楽になったのは察するけれど

【ハチクロ】『はちみつとクローバー』を読み返して、脇役の配置が絶妙だし、一番一般人に近い竹本くんの存在が良かった。

うっかり3月のライオンを再読してしまい、ハチクロが読みたくなりました。ハチクロの成功という実績があるからこそ、羽海野チカ先生は3月のライオンを自由に描けるのでしょう。ハチクロは「少女漫画」とか「恋愛モノ」といった制約の中で、生み出された作品のように見えました。

ハチミツとクローバー 10

「ずっとは続かない心地よい人間関係」や「楽しい学生生活」のこと

この作品は切ないイメージがあって、それは甘酸っぱい恋模様に原因があるのかと思っていたけれど、それだけではなくて、「否応なく大人にならざるを得ない」人生の季節に、迷ったり傷ついたりしながら踏み出していくことも描かれていることも、切なさの原因かもしれないですね。この楽しい時間がずっと続けばいいのにと。

それは竹本くんたち世代だけでなく、花本先生・原田さん・リカさんの世代だって、あの居心地のいい空間がずっと続いて欲しかったかもしれない。でも、続くわけないし、続かないことは登場人物も理解している。

駆け引きやズルいことする人がいなかった

真山さんに断られているのにズルズルいってしまう山田さんにしろ、結局真山さんを断りきれないリカさんにしろ、「怖い」人はいるけれど、ドロッドロの展開とかにはならなくて、暴力とか、ライバルを蹴落とすために罠にハメるとか、そういう要素は出てこないのですね。おかげで、安心して読めるし、登場人物たちを好きでいられる。

1歩先に大人になった人たち

花本先生が、リカさんがらみで自分たちの代の物語を語ってくれること。

真山さんがお世話になっているデザイン事務所にいる先輩たち。

同世代だけ出すのではなくて、彼らを脇役に置くことで、主役たちの五年先・十年先を描かなくても、想像する余地を埋めやすくなる。

5人の中で一番、一般人に近い竹本くんのこと

森田さん・真山さん・山田さん・はぐちゃん・竹本くんと、主役級の5人を並べてみると、竹本くんと森田さんが両極端の存在ですよね。

  • コメディーリリーフ兼芸術と金儲けの異能持ち森田さん
  • 才能特化型のはぐちゃん
  • コメディーリリーフ兼恋する乙女の山田さん
  • 早く大人になりたい常識人に見えてストーカー癖のある真山さん
  • 才能もお金もなくやりたいこともなく何者でもない恋する青年竹本くん

 例えば、こんな感じで。かかと落としが得意だったり、ユニコーンが護衛についてたりする人は少ないかもしれないけど、恋する乙女はたくさんいますね。ストーカー癖のあるイケメンは困るけど、真山さんみたいな選択をする人もいるでしょう。才能のある人は、はぐちゃんみたいな苦しみを生きるのかもしれない。やりたいことを見つけられなくて苦しむ人も多いでしょう。ただ、森田さんの異能は、さすがにいないですよね。8年かけて卒業して、また8年通うつもりとか意味がわからない。

「はぐちゃん」「森田さん」「竹本くん」の人生がメインで、山田さんと真山さんは例えばどんな子供時代だったのかとか描かれていないです。1巻の時点では頼りなかった竹本くんが、青春の塔をぶち壊したり、北への自転車旅行(自分探しの旅)に出たりして、もがいてもがいて、やりたいこと見つけてきますね。充実した学生生活だと思う。それでも、好きな子のピンチに対して、自分が無力であることを突きつけられる。

ハチクロが優しいのは、「経済力が無いから嫌だ」と誰かに言われるのではなくて、竹本くんが自分ではぐちゃんを支えるとしたらどうしたらいいと考えた結果、力が足りないことに気がつける点ですね。新卒の段階で、いきなり他人の人生を背負ってリハビリに付きそう時間や精神的に支えることなどをやるのは無理だし、竹本くんが出来ないのは当たり前なんだけど、彼が自分の無力さに打ちのめされたことは察します。

「自分探し」の必要は無いし、才能もお金もあるけれど、はぐちゃんがどう生きたいのかまで想像することが出来ない、森田さんを出したのも凄い。

結局、おさまるところにおさまるわけですが、時間が過ぎて、傷が癒えて、彼らがまたお茶でもしてくれていたらいいなと思うのです。

この漫画は恋愛を扱ってるし、恋愛を通して人生のことも考えています。

それだけじゃなくて、一番一般人に近い竹本くんという存在が、10冊を通してどう成長したのかを目撃できる作品でもあります。それぞれのキャラクターが成長するけれど、竹本くんが一番わかりやすいから。

『3月のライオン』再読して。(同じフォルダ、「救いの塩加減」、『最果てのパラディン』)

ブックウォーカーで、80%OFFキャンペーンをやっていたんです。3/22までかな? 紙の本で買っていたので、手元にあるし、電書を買ったからといって処分できませんけど、12冊買って通読しました。そういえば、『3月のライオン』を通読したのって、初めてかもしれないです。

3月のライオン 12 (ヤングアニマルコミックス)

 

どうしょもない人は、ほとんど出てこないんですよね。たぶん唯一もう無理そうなのは、桐山くんに「詰んでからが長くて汚い」って言われた妻子捨男くらいでしょうか。

ヒナのクラスで起きたいじめの主犯の子は、責任とれないことやらかしたし、罪の自覚も無いのであのままかもしれないし、どこかで痛い思いして自分を変えないとダメだと気がつける日が来るかもしれない。(親御さんの振る舞い見ても、環境悪いからとても難しいでしょうけれど)

二階堂と当たって千日手に持ち込んで潰した棋士がいましたけど、彼の背景が語られたり、彼には桐山くんや二階堂がどう見えているのか等語られていて、ただ卑怯な敵としては描かれてないですよね。

おばさん・お婆さんもカッコよかったり可愛らしかったりしますが、羽海野チカ先生の描く、おじさん・お爺さんって味がありますね。猫が可愛かったり、背景が美しかったり、挙げればキリがないですけど、骨のある男性が出て来るの、改めていいなあと思いました。

「報われた」とか「無駄じゃなかった」とか「救い」みたいなものって、作者さんのかきたいことであったり、それこそ「塩加減」みたいな部分だと思うのですけど、軽すぎず残酷すぎず、丁度いいと私は感じます。「あ、それは救いだよね」と理解しやすい・受け入れやすいということかもしれないです。

キャラクターや物語、作画等、要素はたくさんありますけれど、それに加えて、「どうしょもない人がほとんど出てこない」「骨のある男性をかける」「救いのテイスト」等に魅力を感じているのだなあと、再確認しました。

 

私の中で、羽海野チカ先生は、宮部みゆき先生と同じフォルダに入ってる感じなのです。再読してみて、上記に挙げたような要素で、同じフォルダに入れたのかもしれませんね。

 

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

 

最果てのパラディン』が好きで、3巻まで計4冊読みました。積読たくさんあるので消化したいのですけど、なんだか手に取る気持ちになれなくて、大好きなキャラクターたちに会いに行くような気持ちで一巻手に取ったら再読しちゃったのですけれど、この作品も「報われた・無駄じゃなかった・救い」みたいな要素が、私にとって理解しやすい「塩加減」みたいです。

琴線をわしづかみにされて、魅了されたことは自覚しても、私にとってこの作品のどこが特別なのかを言葉にするのが難しかったのですけれど、『3月のライオン』を再読してみて、ああ、こういう部分かもしれないなと気付かされたのでした。

柳野かなた先生が『最果てのパラディン』で何を工夫されているか、少し見えてくる三巻(竜退治編)

 読んじゃいました。「これ、読みたかった」と、大喜びで読める作品ってなかなか無いので、(それは作品の魅力の他に、私との相性の問題があるから)、これから何を読めばいいのというちょっとした『最果てのパラディン』ロスを味わっています。もちろん、『最果てのパラディン』は完結していないし、積読も山ほどありますので何かしら読むのですけれど。これから先、何度だって再読することはできるけど、「読んじゃったなあ」という気持ちも、作品の余韻とともにしばらく残るのかもしれないですね。

  

最果てのパラディンIII〈下〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫) 最果てのパラディンIII〈上〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

 領主として、PTリーダーとして、竜退治に行く、3巻

ダンまち』のベルが、ミノタウロスを倒すのも名シーンですし、竜退治なら『ロードス島戦記』でも出てきましたね。主人公のウィルは、高位の神官+一流の戦士+賢者並の魔法使いという、超出来る少年です。設定的には、名声を獲得しただけでなく、近隣地域を見ても彼より鍛えている英雄はいないと言われるレベルです。これまでの戦いを振り返って、自分の実力を考えると(世間的には強敵だけど)、格下だったことに気が付きます。1巻の終わりの死闘に続き、二回目の「格上との戦い」が描かれています。

迷い悩み、逃げるための言い訳もあるけれど、それでも挑むかどうかの葛藤、ウィルが何のために、マリー・ブラッド・ガスに与えてもらった力を振るうのかという、原点の確認作業でもありましたね。

「行けば死ぬ」と複数の神から忠告され、里帰りしてガスにも忠告され、それでもウィルは挑みます。高いハードルが設定されていて、でもここで「ウィルは死にました」と、彼の英雄譚を挫折させるのも惜しいですから、どう描いて着地させるのかが、著者さんの腕の見せどころです。前哨戦も含めて、面白かったです。

また、この作品では「チート級の強さ」に対して、ブラッドも忠告してましたし、ガスも「それは呪いだ」と忠告しますので、強ければ強いほどいいという設計ではなく、力を管理下に置くことの難しさもおさえているのが魅力的ですね。

 

ドロップアイテムでは無く、経験値でも無く

RPGで遊ぶと、「あと3200EXPでレベルが上がるぞ」って教えてくれるし、強い敵を倒せば宝箱があるかもしれないしレアドロップを落とすこともあります。それはそれで見せ方としていいと思います。『ダンまち』のベルがミノタウロスを倒して、ドロップアイテムからヴェルフに武器作って貰うとかもいいですね。

最果てのパラディン』の場合は、強さについて、TPRGの知識ある作者さんみたいですから、設定の段階でおさえているのかもしれないけど、『ダンまち』のようにステータスは表示されません。『ダンまち』はベルの非常識な成長・飛躍を描くことも柱だからあれでいいと思います。そして本書の見せ方も、私は好きです。

ドロップについても、XXXを倒して武器を獲得したとか、○○○を倒して猛毒を手に入れるという「出来事」自体は、ゲームや先行作品でも扱ってることが出てくるのですが、描写の仕方のおかげで異世界を旅してる感じを楽しめます。『ロードス島戦記』ならギムからスレインの手を通してレイリアに渡った髪細工を「造る」ことにしろ(あれ、待ち時間にギムがこしらえてましたよね)、パーンたちが風の上位精霊ジンのいる塔へ行き、古代の魔法がかけられた装備を手に入れる、といった描写を思い出しました。

武器は敵が持ってたのを拾って使うわけですし、毒については「その世界を生きて、毒を扱うスキルがあるなら、そうするよね」って納得できます。例えば、私達の日常で、山菜や野草に興味がない人は素通りするけれど、食べ方知ってる人ならタラの芽摘みます。架空のモンスターの猛毒と、タラの芽はもちろん違いますけど、こういう描写の積み重ねが、架空の世界のリアリティにつながるのかなあと思うのでした。

 

異世界転生モノ等のヒロインありきの作品へのアンチテーゼなのだろうか

ドラえもんには、のび太君と4次元ポケットがついてくるように、『ダンまち』にしろ『RE:ゼロ』にしろ、『灰と幻想のグリムガル』にしろ、主人公との距離感はともかく、魅力的なヒロイン登場しますよね。『禁書』とかだと、数が多すぎて困るくらいになってます。『風よ竜に届いているか』でも『ロードス島戦記』でも、ヒロインはいますよね。

最果てのパラディン』はどうするんだろうと見てました。ブラッドにはマリーがいたわけですし、PTにヒロインが加入するのは自然なことですよね。でも、なぜか、フラグが全部折ってあるんです。それをガスに指摘されて、ウィルが「全部同性だった」って答えるシーン、笑いました。

200年、アンデットにとして人間社会と切り離された場所で生きた、マリー・ブラッド・ガスが、外の状況分からないけれど、過酷な世の中でサバイバルできるようにと、自分たちの経験を出来る限りウィルに与えました。桃太郎なら、おばあさんがきび団子の代わりに、「鬼は強いでしょうから、レールガンを持っていきなさい」とか言われたら、桃太郎強よくなりすぎちゃいますが、ウィルも結果的に「強すぎる」のです。

2巻に出てきたワイバーン戦で、4人PTでバランス取れてるねって誤解されて、説明したらウィルが一人三役やっていた、なんてこともありました。

規格外に強いウィルは、神に愛されます。

この世界は、多神教の世界です。『ダンまち』のように神様の力の行使に制限かけてないですし、『ロードス島戦記』のように高位神官の中に降りてきてもらうという関係でもありません。神が英雄と恋して「半神」を産んだりできる設定なので、ギリシャローマ神話に近い面がありますね。異なる点は、実体が出て来ることには制限かかっている点でしょうか。

ラノベのテンプレの1つになっている、ヒロインの扱い方や、ハーレム物等へのアンチテーゼかと思うくらい、ヒロイン出てきません。ウィルの立場は忙しいというのもあるのですが、純粋培養されているので食後の散歩くらいの感じでモンスター討伐やれちゃう反面、女性慣れしてないのです。マリーは、ぐっとこぶしを握って「そうですウィル、私の可愛い坊や。恋も結婚も誠実にね」って応援してるかもしれませんが、ガスはニヤニヤしながら「ひ孫はまだかのう」ってブレッシャーかけてますし、ブラッドは「ウィルお前、そういうの、教えなきゃ、ダメか?」って頭抱えてるかもしれませんね。

冗談はともかく、多神教の世界で神に愛される(女神に愛される)ということは、どういうことなのか、考えさせられました。こういう設定も面白いですね。

(どうしてヒロインが出てこないのかは、三巻の下巻読んでなんとなく察しました。でも、鉄と血のニオイしかしない殺伐とした世界なわけではなくて、ある意味ラブコメ成分みたいのもちゃんとあるのが凄いです)

 

ドワーフドワーフの、エルフはエルフの

ロードス島戦記』のギムが、ドワーフにはドワーフの戦い方があると、ディードリットに言う場面がありましたね。『最果てのパラディン』も、国を滅ぼされて200年流浪して疲れ切ったドワーフたち、それでも彼らには彼らの考え方や誇りがあること。

エルフに関しては、主人公の相棒がハーフエルフですし、ガスが博学なのでウィルもエルフ語は叩き込まれていますが、考え方・文化は知らなくて面食らったりしています。

ドワーフやエルフが、この世界ではどんな人達で、どういう考え方をするのか、人間と何が違うのかも、きちんと語られています。

 

敗者復活戦という機会

ウィル自体、前世の記憶を持っていて、マリー・ブラッド・ガスに育てなおしてもらって、生まれ変わり(転生し)、生き直すというチャンスを与えられました。

異世界転生物も色々あるので、ここまで丁寧に「転生」や「力の獲得」を描く作品は少ないけれど、人生にリセットボタン無い問題に対する、それぞれの作品の答えでもあるのでしょう。

物語のフォーマットだけでなく、マリー・ブラッド・ガスたちがアンデットとして存在したことにも意味があるし、3巻の竜退治でもある奇跡が描かれます。著者さんの人生観や哲学の現れなのか、意図したことではないのか分からないですが、この作品は「敗者復活戦という機会」を望む人には与えられる世界観で描かれているのかもしれませんね。詰んだ、終わりだ、ではないのも味があります。

 

 

ウィルがどこまで行けるのか、このシリーズがどこまで続くのか分からないけれど、著者さんが納得行くまで書くことができるといいですね。

メディアミックスの他に、『ロードス島戦記』に対する『ロードス島伝説』であるとか、『ダンまち』の外伝のように、縦方向や横方向に作品世界が広がってほしいなあと祈りつつ。

 

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今はきっと、愛蔵版のようなもの。(電書と暮らしてみて)

最果てのパラディン』に大歓喜している今日このごろです。3巻に入ってウィルも庇護されたり名を挙げる段階から、多くの人の命を預かる立場になり、指導者として頑張っていますね。作品に飽きたわけではないけれど、作品の熱にだいぶ慣れてきました。

3巻の上をゆっくり読んでいます。

 

最果てのパラディンIII〈上〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

 

 

電書は便利ですけど、もちろん万能ではなくて、紙の本の方が優れている面あります。読みやすさ、端末は2年前後で買い換える必要が出てきますけど、紙の本は数十年とか半世紀とか保ちます。3.11みたいな災害時に、津波や火災で失われる反面、停電していてネットと接続できなかったり端末を充電できない時にも読めます。ネットに接続出来なければ出し入れできないし、電気無いと読めないのだなあと、今更ながら気付かされたことでした。

本との関わり 原体験

親に与えてもらった、絵本や図鑑や読み物からスタートしています。

お小遣いを貰える年齢になると、町の小さな本屋さんへ行くのが楽しみになりました。自転車で少し遠くまで行けるようになると、もう少し大きな本屋さんや、古本屋さんを見て回りますね。そのうちECサイトの使い方も覚えました。

当然、ちびっ子のお小遣いは何冊も買えませんので、小学校の図書室に入りびたり、町の図書館にも行きました。図書館の空間が好きだったし、本を探して貸してもらって出入りするのは、なんだか少し大人になったような気持ちがしました。小学高学年になると文庫本がかっこよく見えました。岩波文庫とか新潮文庫とか。面白いけどちょっと大きいし子供っぽいよなあと、小学生の私は、当時愛読してた岩波少年文庫のことを、そんなふうに見ていた記憶があります。

文庫を手に取るようになったのは、中学生になってからでしたね。読みやすい作品を探しつつ、翻訳物の難解な文学を読もうと背伸びしたりもしていました。

友達との貸し借りとかもありますが、「新刊を買う・古書で買う」「図書館や友達や家族から借りる」という関わりですね。

 

本との関わり 買い方

図書館ももちろん使うのですが、予約人数が多いとか、近隣の図書館からの取り寄せになるとかで、「待つよ」って時に、お願いしてじっくり待つ本もあれば、すぐ読みたくて購入するものもありました。

単行本を欲しいだけ買えればいいのですが、置き場困るんですよね。読書家のお友達が実家暮らしで、「家が傾いた」とか言ってたの聞いて、ガクブルしたものです。

どうしても単行本で読むか、文庫になるのを待つかという、書籍の価格の問題もありますが、「置き場所問題」が発生していたわけですね。

更に悩ましいのが、本との出会いが一期一会で、迷って別の日にやっぱり買おうと出かけるともう無くて、ECサイトで検索かけると「取り寄せ」になってたりして、「あの時買っておけば」と悔やむこともありました。「迷ったら買え」の発動ですね。

 

本との関わり 電書に移行して

手元に本がある程度たまって、積読もあれば、既読だけど愛着があるので処分できないものもあります。例えば欲しい本が5冊あるとして、代わりに『十二国記』を数冊処分できるかというと、それは無理です。無理ですけど、収納的にはそういう問題が発生します。電書だと、この悩みから自由になれるのが有り難いです。

電書に無い本はまず買わなくなりました。月に購入する本や漫画の内、紙の本って3冊いかないかもしれません。0冊の月だってあります。今は、漫画とラノベ中心に読んでいるから、電書との相性もいいですし。

リアル書店で買い物して、本を抱えて帰った日や、ECサイトダンボールみっちり本を届けて貰ったこともあったのに、変われば変わるものです。

 

電子書籍リーダー等を忘れて、出先で読むものがなくて、本屋さんに「酸素ボンベ下さい」的な感じで、何か買うこと。

ブックウォーカーKindleで電書になるのを待っているけれど、うっかり本屋さん行って欲しい本が平台に並んでるのを見て買ってしまうこと。

電書に無いけど、興味があるから読んでみたいもの。

 

振り返ってみると、予定にない事故的な衝動買いか、電書が無いけどスルーできない時じゃないと、紙の本を手に取らなくなっていますね。

 

いつかやってみたいこと

本棚整理だけならちょっと頑張れば終わるのですが、タワーになってるのとか、ダンボールに入ってるのとかを全部確認して、いるものといらないものに分けるのは、けっこう時間かかります。手をつけるの勇気いりますね。でも、これができたら、少しだけスペースが出来ます。電書と一部重複してるから処分できるものもあるはずですし。

それが済んだら、電書で読んで気に入った作品を、全部は無理だけど、シリーズを絞って紙の本でも手元に置きたいです。すごく気に入った作品の愛蔵版とか完全版で揃えるのと、電書で読んで気に入って紙の本で買うことは似ているなあと思うのでした。

いつかって言ってるので、当分はやらないんでしょうけれど。←

背景は黒、文字は白(電書の読書環境のこと)

なんとなく、白強めのデザインが眩しかったので、黒地に白文字なデザインへ変更してみました。。

 

haretarabook.com

みかこさんの今日の更新を見に行って、サイドバー辿って特集記事を見ていたら上記にたどり着きまして、面白かったです。

「端末何使ってますか?」

「直接ダウンロードです」

「どこにダウンロードされてます?」

「脳?」

とか言われたら信じるw みかこさん速読とか出来るのかな。読むのも書くのも凄まじい速さで、しかも継続されているし。高性能すぎる。

で。電書をどんな環境で読んでるかって、面白いなと思ってこの文章書いてます。

 

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iPad Aer2

軽いし、私が使う「Kindle」「ブックウォーカー」「kobo」もサクサク動くし、メイン環境ですね。ただ、粗忽者なので、iPad割るんですよ。なので携帯はしません。

 

iPod touch

長文を書くこと以外は、ほとんどこれで用事済ませてるかも。コミックスも読めないことはないし、電書読む程度なら十分パワフルですね。ただ、表示できる活字の量が少ないので(画面狭いから)、超ページめくりしないといけないのが不便です。不便ですが、荷物にならないのがいいです。

 

電子書籍リーダー

300dpiくらいのやつ使ってます。漫画も読もうと思えば読めますけれど、タブレットのさくさく感に慣れると、どうしてもモッサリしてます。でも、活字の本を詰め込んで、気軽に外に連れ出せるのはいいです。太陽の下でも紙の本と同じように読めますし、まぶしくないし、タブレット等と比べれば安いので、カバンに入れて連れ歩けるのも嬉しいです。ただ、タブレットと違ってショップに縛られちゃうのは不便ですね。

 

表示設定

ラノベ読んでると挿絵とか、特殊なフォントを画像で表示してるケースとか、デザインが台無しになるのですが、黒地に白文字で読んでます。3つのアプリとも全部。漫画は設定反映されないので無意味ですけど、ePub読む時は、長時間読むと目が疲れるんです。ブルーライトカットなんとかとかすればいいのでしょうけど、設定で対応してみました。慣れると、これはこれで落ち着きます。

 

ブックウォーカーアプリ

そんなに使ってなかったので、今、慣れてるとこですね。文字にマーカー引きたいんですけど、上限あるのですね。メッセージ表示されてびっくりしました。Kindlekoboでは経験ないので。マーカーの引きにくさはkoboと同じくらいかな。電書の全文検索は、Kindlekoboと比べると時間かかる印象でした。

慣れてないだけかもしれないですが、クラウドから本棚を指定してダウンロードし、読み終えてデータ削除しても本棚に書影が残るので、一覧に戻って本棚から外す操作をするのがめんどいかなあ。

 

koboアプリ

前のデザインに戻して……。直感的でとても使いやすかったのですけど、最近新しいデザインというかUIになって、色々諦めました。ホーム画面がごちゃごちゃしてて、無理やりオススメの本が表示されるのも辛いんですけど、自分の蔵書を一覧したい時とか、私には合わない感じです。ブックウォーカーでも出来るけど、アーカイブ機能(クラウド上での非表示化)があるのは長所ですね。

 

Kindleアプリ

買って、落として、読むことに特化してますね。アーカイブ機能無いですし、ホームページでコンテンツの「削除」を選ぶと、買ったこと自体を放棄することになるし。怖い。でも、マーカー引きやすいし、クラウドと端末の関係も分かりやすいですね。全文検索も早い気がするし、ページを折ったり(栞かな)、マーカー引いた箇所を一覧できるし、快適です。

ブックウォーカーだとお得に買える、Kindleだとブックウォーカーほどポイント付かないこともあるけれどアプリ使いやすいし、電子書籍リーダーで読むオプションもある(これはkoboも同じことですね)

 

電書じゃないけど紙媒体

これまで読んだ総数で考えると、紙の本が大半で、電書は1000冊前後なんですよね。まだ、紙の本で読んだ方が快適かなあ。「欲しい時に瞬時に買える」「収納場所に困らない」「どこに収納したか、室内で本が遭難しない」「電書は書名で検索かけられる」などのメリットを取って、「紙媒体の方が読みやすい」部分は目をつぶってる感じです。

「いらない本を処分する必要が無い」というのも、ありがたいかなあ。

紙の本の良いところは、現物が目の前にあればすぐ買えるし、単行本であれ文庫本であれ、歴史がある分だけ洗練されているし、そうそう壊れないから、多少乱暴に扱っても大丈夫だし、気に入ったら人に貸して布教できる点とかかな。それと何より、「発売日」が電書より優先されてること。電書と紙の本が両方同日リリースってまだ少ないですよね。待つのなかなかしんどいものがあります。

その代わり、電書になってしまえば「品切れ」は起きないのは電書の強みですね。

 

 

そうそう。Nexus7使いだったみかこさんは、現在iPad mini使いになられたそうです。

 

 

 

 

 

 

誰か、柳野かなた先生の『最果てのパラディン』をハリウッドに連れてって!!!!

贔屓の引き倒しという言葉があります。お前黙ってろって案件かもしれないのですが、1行も退屈しなくて滅法面白いし、期待は裏切らないけど予想は裏切るという、この作品と著者さんの手のひらの上で転がるの超楽しいですよ。

TVアニメ化とかコミカライズとかメディアミックスして欲しいのです。ラノベの場合、劇場版の原作になるって相当売れないと無理ですよね。でも、私のゴーストが囁くんです。

「この内容を、CGがんがん使ってハリウッドで映画化したの見たくないか」と。

私は見たい。劇場版よりハードル上がってる……。見たいけど、同じ本何冊も買えないし、クラウドファンディングで投資するとかも現実的ではないので、読んだらそういう気持ちになる奴もいるよとネットの隅っこに書いておきます。

最果てのパラディンII 獣の森の射手 (オーバーラップ文庫)

 

2巻読み終えました。読書中に血が滾って、なんか書いたのもあります↓

 

00101techi.hateblo.jp

(「オーバーラップ文庫」は、灰と幻想のグリムガルで知りましたが、『最果てのパラディン』という王道英雄譚を刊行してくれて、ほんとありがとうございます。)

 

テンプレや先行作品等の文化遺産の活かし方がすごく好き

例えば『ダンまち』は、あれはあれで良いと思うんです。今一番ピッタリくるのは『最果てのパラディン』だけど、『ダンまち』の外伝の使い方・萌えの使い方・スキルの使い方・設定の使い方等、好きで読んでます。他にも好きなシリーズはあります。

創作は0から作るわけじゃなくて、先行作品を読んで栄養にしてますよね。『ダンまち』にしろ『最果てのパラディン』にしろ、そのチューニングの仕方が好きです。とくに、『最果てのパラディン』は、例えば戦闘で俺tueeeするにしろ、そこに至る過程をきちんと書いてくれるから、まあウィルなら規格外のことするよね、戦闘面はブラッドとガスが叩き込んだしと受け止めています。

ダンまち』のベルが、驚異的な速さで「早熟」するのも、あのスキルが説明されれば、なるほどと思えるのと似てるかも。

先行作品やゲーム等の文化、ラノベのテンプレ等を、書きたいことを見せる時にどう活用するかという「料理の仕方・チューニングの仕方」が、私にとってはピッタリだったみたいです。それは、シンクロしやすいですよね。

 

二巻まではヒロインがいなかった問題

『ロードス』ならディードリットが、最初の町あたりで仲間になるし、『ダンまち』ならそもそもヒロイン出さないとベルが動けないですよね。ヘスティア様もヒロイン枠にカウントするなら、冒険に出発できない!!

一巻は分かりやすいヒロインが出てこなくて、代わりにバブみのある即身仏系神官というすごい人がいました。乙女で祖母*1で母とか、一人何役なんですか……。

二巻はヒロイン来たかと思ったら、ハーフエルフの相棒なんです。まあヒロイン的な役割果たしてるよねと思ったら、作品の中でハーフエルフの青年本人が「俺をその枠に入れるな」って吟遊詩人と喧嘩してました。先回りされて笑いました。

一巻はプロローグ。

二巻は、「人の社会はあるのか?」ってとこから探検していって、認められて、仲間や友達ができるお話でした。夕日の河原でクロスカウンター入れる場面はありませんが、ウィルが喧嘩できる相手が出来ました。

三巻の上下巻も買ってあるので、ヒロイン出てくるのか楽しみにしています。

 

オーディオコメンタリーください

ある理由でアンデットになった三人ですけど、彼らのことを外の社会の吟遊詩人が、200年経ってるのに語り継いでくれています。それを知った時のウィルの嬉しそうな姿を見るのが、嬉しかったな。

ウィルの中にもあの三人がばっちり残っています。一緒に暮らした思い出から、叩き込まれた高度な戦闘スキルや敬虔さまで。二巻にあの三人は出てこないけど、間接的に、ウィルの血肉になって出て来るのも好きです。

ここまでは、二巻に書いてあることです。

で、想像は止まらないわけで――

もし、二巻をあの三人に読ませたら。ガスはニヤニヤするでしょうし、ブラッドは「俺の育て方極端だったかな」とか「そうなんだよ、筋肉なんだよ」って見守るでしょうし、マリーはそっとハンカチで眼窩をおさえて(ミイラは涙出るのかな)神様に感謝しますって祈っちゃうんだろうなあ……。

などと思うわけです。 

アニメのオーディオコメンタリーが特典についてきたりしますよね、Blu-rayやDVDで。あの副音声な感じで、私の中の、脳内「ブラッド・ガス・マリー」がウィルの冒険を見てあれこれ言ってる感じが、超楽しいです。柳野かなた先生監修で、そういうの出してくれたら、絶対読みたいです。「例の三人に、二巻読ませてみた」みたいなやつ。マリーの出自が謎だってあたりで「ふふふ」とか笑って欲しい。

「一巻を読ませてみた」もいいですね。マリーが思い出し怒りをしてブラッドがしばかれるとか、ブラッドがカッコイイ場面をガスにちゃかされるとか、ガスが怖い場面でマリーやブラッドに「そんなことしてたのか」って驚かれるとか。

 

大人がカッコイイ

柳野かなた先生の人間観とかが現れるのかな。「体制・権威」がきちんと機能してたり、問題のある人が出てきたとしても、嫌な奴は出てこないんです。生臭坊主に見えるおっちゃんにしろ、最初の大きな街を統治している人にしろ、村の長老にしろ、「冴えない」って相棒に形容されつつもじつはデキる人な行商人さんにしろ。

とくに、行商人さんは、いないと戦えないし、町や村を助けることも出来ないし、世間知らずのウィルをフォローしてくれたりもするから、重要人物ですね。トルネコ、馬車に入れててごめんよ……。

体制・権威・大人って、思春期の読者層なら鬱陶しい存在だと思うのですが、極端に悪くするとか美化するのではなくて、作品にとって必要な役割をきちんとまかせてますね。ラノベだと、大人がいないか、大人が機能しない、物語に関わってこないケースが多いけれど、『最果てのパラディン』は、カッコイイ大人もきちんと出せるのが強みですね。

 

こういうの読みたかった、コレが読みたかった

と、本書を大喜びで読んでいます。もう読むというより、美味しく食べてますって感じです。ジョジョでイタリアンレストランが出てきたと思うんですけど、あれめちゃめちゃ美味しそうじゃないですか。だいたい、アレです、この作品。私にとって。

ただ、「こういうの好き」って言う時の「こういうの」はたぶんジャンルとかだと思うのですけど、ダークファンタジーじゃないし、何になるのだろう。硬派で骨格かっちりしてるファンタジーではあるけど、ファンタジーだから好きなわけではないんですよね。読んで好きになったら、たまたまファンタジーだったという。

「こういうの」をうまく言語化できないので、『最果てのパラディン』みたいな作品が好きって言っておけば、たぶん通じるかな。

私は一年遅れで読んでますけど、未読の方は、急がなくていいと思います。たぶん、これ古典になると思うから。とりあえず買って積んで、合わない本を読んじゃった時の口直し用にするとか、一番快適に読書できるタイミングで本書を開くとか、慌てずに楽しむ方法も工夫できそうですね。

「泣けるってきいたけど合わない」って感想も見かけたから、合うか合わないかは、Kindle等の電子書籍の立ち読みや、書店店頭での立ち読み、あとは「なろう版」で雰囲気つかみにいくのも良いかもです。製品版は改定されてるみたいなので、読み比べるのも楽しそうですね。

「控えめに言って最高です」とか「尊い」って使っちゃったから、もう「言葉もない」って言うしかないかなー。自分にとって当たりの作品、それも1行だって退屈しないで読める本に出会えるって、楽しいことですね。

 

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*1:お香のかおり