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面白そうだな、こんな作品あったんだ、尊い。『最果てのパラディン』沼にはまった悲鳴はそんな感じでした。

控えめに言って最高でした。設定を知った時点で惹かれるものがありましたが、読書家の目利きな方に「いいよ」って教えて頂いて、読んでみたらドンピシャでした。こういうの読みたかった。

ロードス島は呪われた島と呼ばれ、中でも南部に位置するマーモはダークエルフやらモンスターやらが住む上に、覇王ベルドを輩出するやらで、呪われてるとしか言いようがないのですけれど。

本書の場合も、バリバリに呪われてます。主人公が異世界転生した先の幼児を保護し養ってくれるのは、上位のアンデット三体ですから。主人公の身内がこれで、「そっち行っちゃいけませんよ」って言われて育つご近所は、アンデットの巣窟だったりします。

過酷な環境で、主人公はまっすぐ育ちました。

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

俺tueeeしてなくて、戦闘はバランス取れてます。異世界転生モノだとチートスキルを何か持ってることがお約束ですよね。あとは前世の記憶の活用とか。本書の場合は、悔いを残して死んだ記憶と大人の知性が、転生先の体にうまいこと融合しています。だから、話せるようになる前から色んなこと考えられるし、物を覚えるのも早いです。「生まれ変わる」というより「生き直すんだ」という強い意思があるから、与えられた環境で多くのことを習得出来たのですけれど、これって「強くてニューゲーム」ほどではないけど、 記憶を持ってコンテニューはしてますね。すっかりテンプレになった設定ですけれど、これって凄いことだと再確認させられました。

リアルでは、「ちょっと待ってね、時間巻き戻すから」とか「行き詰ったから、最初からやり直すね」とかは選べないことだから。

 

転生して離乳食もらうところから始めて、大抵のことは筋肉で解決できる的な脳筋戦士(スケルトン)、乙女のようでバブみもある即身仏似のミイラ神官(新しい概念…)、ロックな爺ちゃん賢者(ゴースト)という三人に養われて育ちます。彼が育っていく過程や、この作品にとって転生とは何かとか、様々な要素が丁寧に語られていきます。

斜に構えてるゴーストの爺さんにも理由があるし、脳筋戦士は気配りの人だし、ミイラ神官(即身仏似)のお母さんの愛情すごいです。とくにミイラさんは、これもうヒロイン枠でいいんじゃないかと思った。乙女のようで、お香のかおりはお婆ちゃんのようで、愛情注いで育ててくれる母でもある、ミイラ。主人公もだんだん慣れてきて「水分抜けただけ」とか言ってますけど、「だけ」じゃない。大問題だ。

とある事情でアンデットになった三人が、幼児を保護して家族になっていく。それはとても不器用で、優しくて、アンデットなんだけど気持ち悪さは無いんです。彼らは「自分」を保ったままだから。

生まれなおして生き直したかった主人公にとっては無我夢中の時間だったでしょうけれど、彼を保護して育てた側にとっては、夢のような時間だったのかもしれませんね。

とても好きなので、積読を少し削ったら、2巻・3巻も読みます。

 

いつか 最果てのパラディンさん』を

健気な主人公の成長物語を楽しむのもいいですし、伏線が回収されてどこでひっくり返されるのかなとか物語の「秘密」が開示されていくのを楽しむのもいいですけど、この作品キャラがいいんです。『最果てのパラディンさん』とか『さいパラ』みたいなタイトルで、ゆるい日常4コマ漫画を出して欲しいくらいです。脳筋お父さん、怒らせたら一番怖いお母さん、トリックスターなお爺ちゃんと、一途な主人公の暮らしを描くだけで幾らでもマンガ続けられそう。

 

 

おまけ